宮古島の体験

珊瑚が育む硬水が生んだ
まろやかなる、島の美酒。

15世紀頃にシャムの国(タイ)より伝えられた沖縄が誇る美酒・泡盛。
琉球王朝時代には御用酒として珍重され、伝統製法で生み出される味は、
ここ宮古島でも独自の進化を遂げ、今なお島民に愛されています。

宮古島最大の酒蔵が燃やす情熱。

昭和23年の創業以来、伝統の手技にこだわり今も変わることなく泡盛一筋に美酒を醸し続けるのが『多良川酒造』。宮古島で湧出する清らかで豊かな伏流水を使い、宮古島ならではの味を求め続けるこだわりの酒蔵です。今回はそんな宮古島最大の酒蔵の杜氏・伊計恵蔵さんにお話を伺いました。
「23歳から多良川酒造に務めはじめまして、まもなく40年。毎日毎日、泡盛のことだけを考え、酒を造ってきました。早いものですね」。泡盛が大好きで、就職すれば毎日おいしい泡盛が飲めるのではと、安易な気持ちで酒蔵に務め始めた青年は、米と水、黒麹のみで生み出されるシンプルな酒にみるみる魅了されていったといいます。雑用係の追い回しにはじまり、精米、蒸しの助手、槽や麹の担当を経て、気がつけば40年、今では酒蔵のすべての酒の味を決定する酒造りの最高責任者に。
「宮古島で造られる泡盛は、使う米も製法もほとんど同じなのですが、現存する6蔵すべて味が違う、不思議なものです。毎日造ってきても、これが一番と思える酒は未だないように感じます。だから続けられるし、面白いんです。まだまだ勉強中」。そう笑う伊計さんは少年のように無邪気で、泡盛についての情熱は未だ衰えることがありません。

多良川酒造杜氏の伊計恵蔵さん。
多良川酒造杜氏の伊計恵蔵さん。

とにかくまろやかで、
やわらかく、澄んだ味を—

『多良川酒造』が目指す泡盛を表現すると、まろやかで、やわらかく、澄んだ味と伊計さん。自身が働き始めた頃に比べ、年々味は進歩しているのだと教えてくれます。
「昔は泡盛=臭いというイメージがあったのですが、ほら嗅いでみてください。いい香りでしょ」。この立ち上る豊かでふくよかな香りこそが、泡盛の進化の歴史なのだといいます。
「例えば、元々は表面積の多い砕米を使っていたのですが、ウチでは今は雑味を抑えるためすべて丸米を使用しています。表面積が少ないので、お酒の収穫量も少なくなってしまうのですが、その分すっきりとしたキレイな新酒ができあがるのです」。それは熟成を経ると一層丸みを帯び、旨みが増すのだといいます。
さらには水の使い分け。珊瑚の島、宮古島の伏流水はミネラル豊富な硬水であり、仕込みにこの水を使うことで、まろやかな中にも旨みを含む芯のある酒になるといいます。一方、できあがった原酒を割る割水は軟水を使用。この軟水こそが伊計さんの目指す、まろやかかつ、やわらかい、口当たりの優しい味を生み出す秘訣なのです。

水と酒米、麹を混ぜ合わせる櫂入れ。
水と酒米、麹を混ぜ合わせる櫂入れ。
泡盛の味を決定付ける要素のひとつ黒麹。
泡盛の味を決定付ける要素のひとつ黒麹。

時代に流されず理想を追う、
手間ひまを惜しまない製法。

こだわりはまだまだ尽きません。時代の潮流に流されず今なお昔ながらの常圧蒸溜で酒を醸すのも特徴のひとつです。
「今の泡盛の流行りは、軽い飲み口になる減圧蒸留ですが、ウチの酒は熟成があってこそ、真価を発揮すると思っています。最低でも1年半寝かせてから世に出す。熟成後の深みを考えると、酒の個性をより引き出せる常圧蒸留法が合っているのです。時間も手間もかかる常圧蒸溜は、まさにしっかりとした味わいが醸せる手法です」。長く寝かせる古酒としてのポテンシャルまでを考え、手間を惜しまない仕事が生きています。
そして『多良川酒造』では、熟成を育む貯蔵にも独自の哲学を貫きます。敷地内にある自然の洞窟を使った貯蔵庫と、冷温&暗室にて保管する貯蔵庫を用い、ゆっくりと熟成を促します。
「急いではダメ。思い通りにいかないことも多いですが、ゆっくりと見守ることが大切。まさに子供を育てるのと一緒だと思います」。こうして長い年月を経た古酒は、宮古の海のようにクリアで、飲むほどに旨みを感じる美酒へと醸されていくのです。

ひんやりと冷たい地下の貯蔵タンク。
ひんやりと冷たい地下の貯蔵タンク。
取材協力:
伊計恵蔵さん(多良川酒造杜氏)

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シギラリゾート限定販売泡盛のご案内

多良川酒造「久遠(くおん) 十年古酒」は、
宮古島では当ホテルのみの店頭販売です。
また一部のレストランでもご提供しております。
詳しくは各店舗までお問い合わせください。